竜田の郷愁風景

奈良県斑鳩町街道集落 地図 
 町並度 6 非俗化度 7  −飛鳥時代からの古道に面する街道集落−



 ここで紹介する竜田地区は大和川の水運と古来からの街道に沿っていて、河内地方との往来が盛んな土地であった。聖徳太子が7世紀初頭にここに移り住んで斑鳩宮を造成して居住し、法隆寺も建立された。
竜田(国道25号線沿い)の町並




竜田(国道25号線沿い)の町並 竜田の町並 右は太田酒造


 この竜田を東西に通う道は藩政期には大坂街道(河内側からは奈良街道)と呼ばれるようになり、ここから南に当麻寺に向う当麻街道が分岐していた。また伊勢方面への街道もここからわかれており、街道の結節点として多くの人や物資の往き来があり、町場が発達していた。
 中世から市場町として立地し、宿駅としても大変な盛況をしめしていたといい、その規模は郡山に次ぐものがあったという。商人も大和盆地で盛んだった綿関係の商家が多く、盛んな取引も行われていたようだ。
 国道25号線が竜田越えとよばれたこの旧奈良街道を踏襲しているが、竜田地区では一部を除いて旧道を潰すことなくバイパスかされたため、静かな街道集落が現在に残されている。王寺方面からは竜田川を渡った辺りから古い町並が現れはじめ、坂道に切妻平入りの主屋を見せる太田酒造付近から旧道は北にそれ、交通量の少ない生活路となる。虫籠窓を残す町家、袖壁で隣家とを限られた町家建築がある程度の密度を持って現れる。町家の質は高く、一部ではむくり屋根を持つ旧家もあり見応えを感じる。大和の町並の質の高さを感じさせる旧街道の町並であった。
 町の東部に竜田神社がある。この門前付近が最も殷賑極まる一角だったようで「竜田宮前はかいでもきれいな宿屋の女が裾ではく」と謳われ、その繁栄振りがうかがえる。
 今その付近を歩いても、地元の方々が時折通るだけの生活路となっている。 




竜田の町並




竜田の町並
訪問日:2010.03.28 TOP 町並INDEX