湯本の郷愁風景

長崎県勝本町<温泉町> 地図
 
町並度 5 非俗化度 6 −島唯一の温泉地の町並景観は町家系−



 壱岐島の西部にある湯本湾。島内でも大きな入り江の一つであり壱岐八浦の一つに数えられていた。地図を見てもここに港を設けないともったいないような地形である。
 






 しかし漁村や港町としての機能はあったが、実態としては島内唯一といえる温泉の湧く地として知られ、『壱岐国続風土記』には「元民居なし、寛文二年壬寅秋、守護代山本甚左衛門清方、洲渚を埋みて、湯浦及黒崎浦・浦海浦の民家を移して、専ら浴泉に便りすと、是湯本浦居のはしめなり」とある。
(寛文2年=1662年)
 古くから湯治のための宿があり、島内のみならず対馬島民の利用もあったとされている。私も日帰り入浴者のために解放している旅館の温泉に入ってみたが、神経痛やリューマチ、婦人病等に効能があるとされる湯は濁りがあり、口に含むと塩分と鉄錆の味がする。しかしそれが高い効果を有しているように感じられ、よく温もる湯である。
 ただ町並を歩いてみると、その町並の雰囲気は一般にイメージされる温泉地という感覚とは随分異なるものがあった。もちろん旅館はあるのだが、民家の間に挟まったように目立たず、看板も地味である。また整然と区画された町割には温泉街というよりむしろ町家建築という外観の建物が目立ち、思わぬ町家系の古い町並の存在を見ることになった。






訪問日:2015.01.02 TOP 町並INDEX