今福の郷愁風景

長崎県松浦市街道集落・産業町 地図 
 
町並度 4 非俗化度 7 −平戸へ通じる御厨街道筋の町 炭坑でも栄えた−








今福町の町並

 
 松浦市域の東部に伊万里湾に接して今福という地区がある。小さな町で、狭い平地に人家が固まっている。
江戸時代ははじめ平戸藩領で、寛文4年(1664)に藩から1500石が分知され旗本松浦氏の所領(今福領)となった。
 往時の貿易港・平戸へ向かう街道は各方面に発達しており、それぞれ地元では平戸街道と呼ばれていた。この今福を通るものは御厨筋と呼ばれており、伊万里へ達していた。
 この街道についての詳細が今ひとつつまびらかではなく、この今福に街道集落的要素があったのか、さらに宿駅扱いされていたのかはっきりしない。しかし町並の雰囲気は港町や漁村らしいものではなく、街村的なものであるので、旧平戸街道御厨筋に面して発達したものと思われる。
 実際明治初期の職業の記録では、廻船問屋2は見えるが漁業はなく、大工や鍛冶、醤油商、酒造などの商工業がそれぞれ少々で、農業が400余りと海岸にありながら海が稼ぎの場ではなかったことが判るが、それより特筆されるのが石炭掘200というもので、炭坑によって栄えた町なのだろう。
 街道沿いを歩くと所々に妻入を主体とした商家風建築が見られる。東部には間口の広い堂々とした二階屋が、側面に煉瓦塀を従えており、この町並の代表する古い建物といえる。
 所々に街道を示す手作りの標識や旧蹟の案内板も立てられ、地元は意識されているようだ。 
 
 
 


訪問日:2018.01.03 TOP 町並INDEX