板取宿の郷愁風景
福井県今庄町<宿場町> 地図 <南越前町> 町並度 6 非俗化度 5 −茅葺の民家群が峠下に残る忘れ去られたような町並− |
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旧板取宿の風景 萱葺の家々が残り独特の集落風景を示していた | |
福井県は嶺北・嶺南と一般に呼ばれるように敦賀付近を境に大きく二つに区分される。嶺とは山中峠や木ノ芽峠などのある山地を指し、畿内方面から越前以北への陸路は、必ず厳しい峠越えが必要であった。現在は北陸自動車道や北陸本線はトンネルで呆気なく抜けてしまうこの山地も、冬季は積雪地帯であることもあってかつては大変な難所であり、双方の交流を阻むものであった。 この板取は天正6(1587)年に栃ノ木峠が大改修された時、北国街道上の宿駅に指定されたところである。山中・木ノ芽の2つの峠は敦賀方面から峠を越える形になっている一方、この峠は近江に直接国境を接し、距離的にも短いために以後これが主要道となった。峠下ということで宿馬30頭、人足60名を常備して荷役に仕える態勢が組まれ、また国境に位置していたことから関所が置かれ、後に藩士が駐在し旅人を取締ったという。 |
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![]() 曲線を描く石畳と屋根が美しい |
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この付近に関所があった | |
集落は大きく上板取・下板取にわかれ、幕末頃の記録ではそれぞれ33・20の戸数を有しており、旅籠屋も7軒あった。現在でも上板取地区には面影が濃く残っている。 石畳の坂道に沿い、茅葺の家屋のまとまりがある。その数は決して多いものではないが、茅葺の比率の高い集落が全国的に極めて少ないこと、街路の屈曲により屋根並の美しさが味わえることなど、貴重であり魅力に満ちた風景が展開している。 屋根は甲造りと呼ばれる独特の形をしており、妻入りの形をとっていた。残念なのはほとんど無住のようで、一部は定まった時期だけ施設としての利用があるようだ。萱葺屋根は定期的な手入れが必要であり、見た所大変良い状態に保たれていることからも、外部の手により保存活動が行われているのだろう。 私が訪ねた時は訪問者は一人も居なかった。国道沿いに案内板と小さな駐車場があるだけで、車社会の現在は多くはその存在に気付くことなく通過してしまうことだろう。 これで生活感があれば申し分ないといいたいところだが、萱葺民家群が状態よく残っているという点で評価したい。今後も旧態を保つべき活動を期待したい所だ。 |
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訪問日:2007.11.03 | TOP | 町並INDEX |
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