小俣の郷愁風景

三重県小俣町<街道集落> 地図 
 
町並度 5 非俗化度 7 −宮川の渡し・鉄道開通により参宮客の拠点として賑わった−
 





 元町の町並




元町の町並


 小俣町は宮川を挟んで伊勢神宮にほど近い位置にある。南側を参宮線、北部を近鉄線が通り外宮門前の伊勢市駅で交差する形となっている。
 参宮客は、長らく宮川の渡しにより渡河し神宮に向っていた。参宮表街道を辿ってきた客は二ヶ所の渡し場を利用していたが、そのうち桜の渡しと呼ばれていた下の渡しは参宮線の宮川駅の東側にあたり、そこから続く伊勢街道には街道集落が連なっていたという。
 明治12年の記録では荷車30両・人力車100両・馬車70両など参宮客を中心に人々や物資の輸送を担った。特に同26年に参宮鉄道が阿漕(現在の津市)と宮川間に開通すると、参宮への終着駅として大層な賑わいとなり、この頃が町にとっては隆盛期であったと思われる。しかし期間は短く30年には山田(現在の伊勢市駅)まで開通すると、単なる通過駅となった。
 宮川駅を出て線路沿いに東に向うと、200mほどで旧参宮街道に突き当たる。ここから北・西・また北と二度の屈曲を経て街路が続いている。付近は宮川の渡し時代から家並が連なっていたところで、現在も妻入りで板張りの伊勢地方らしい伝統的な家々が多く見られる。現在も元町と呼ばれるところであり、町の中心をなしている。
 

 
 その後小俣小学校の西を通過し、外城田川を渡ると相合(そうごう)地区に入る。バスなども通る広い通りは一本東側に造られたため、旧街道と街道集落が明確に残っている。家並はほぼ一直線に500mほど続き、連続性の高い町並景観を残していた。家屋自体はそれほど古いものではないが現代風の建物は少ない。統一性が見られるので、それぞれが比較的近い年代に建てられたもののように思われた。
 参宮客が続々と往来していた頃の賑わいは如何ばかりだったろうと思わせる家並が展開していた。
 

   相合の町並
 

 

 相合の町並

訪問日:2022.01.03 TOP 町並INDEX