奥津の郷愁風景

三重県美杉村【宿場町】 地図 〈津市〉
 町並度 5 非俗化度 8  −伊勢本街道の宿場町−


 奥津地区は伊勢湾に流れる雲出川の上流域、小さな盆地に開けるところである。
 JR名松線の終点駅が設けられているが、現在では鉄道の終点とはとても思えないような町の風景である。
奥津の町並






 


 


 伊勢本街道の宿駅として機能してきたのがこの町の主要な歴史である。西の石名原、東の上多気までそれぞれ36町ほどである。
 山間部にありながら比較的開けたけているため、周囲の産物も集結しやすい環境にあった。宿屋とともに商家も建ち並び、また奥津自らも葉煙草や薪炭などを中心とした産業が行われ、津や松坂に出荷されていた。
 伊勢奥津駅付近を中心に伝統的な建物が残るが、その姿は宿場町独特の小刻みに軒を接して連なるものではなく、間口の広く2階の立上りの高い建物が点在するといった印象であった。そのため町並としての連続性は淡いが、この建物はなかなか見応えのある豪壮な外観である。明治以降に建てられたものであろうが、宿場町の役割を終え比較的近現代になっても、町として賑わっていたことを示しているようだ。立看板など探訪者を意識されている様子が見え、好感の持てる町並であった。
 名松線は末端区間が大雨災害により長らく不通となっており、現在伊勢奥津駅に列車は来ない。人通りもない町並のこともあって少々侘しい雰囲気もあったが、復旧の目処が立ちつつあるという。


 
 
訪問日:2013.08.14 TOP 町並INDEX