石部の郷愁風景

滋賀県石部町<宿場町> 地図  <湖南市>
 
町並度 5 非俗化度 8 −東海道の宿場町 街道集落が長々と連なる−



左:石部中央二丁目 右:同三丁目の町並


 石部町は県の南東部、野洲川左岸に市街地が展開する。川に近い方から国道1号、草津線が町域を横断している。
 その南側500mほどのところには最も古い交通幹線である旧東海道が現在もその街道筋を残している。慶長6(1601)年、東海道の伝馬の法が制定され、石部は宿駅に指定された。
 石部宿には幕府および膳所藩専用の本陣が置かれ、全盛期には62の旅籠が存在し多くの旅人が休息した。江戸から見て51番目の宿場町は京都を出発した初日にここに宿をとるのに適した距離にあったことから「京立ち石部泊り」といわれ、利用者も多かった。また260軒の商家もあったというから、商業的にもかなりの発展を見たであろうことがわかる。
 石部東の落合川より西が宿場町であったところで、そこから西にほぼ一直線に1.5kmほど連なり吉御子神社門前付近に達し、そこから北に折れ草津方面に向う。本陣の建物は現存せず際立った古い町並が連なっているわけではないが、家並の連続性が高く、漆喰に塗り込められた虫籠窓を持つ小ざっぱりした商家・土蔵からは宿場町を基盤にさまざまな商いが行われていたのだろうと想起させる。立派な門を持つ邸宅も見られた。
 町並としては宿場区間の東側、柑子袋
(こうじぶくろ)地区にも大きく街道集落が展開している。実際上はこの地区を含め3km以上にわたり家並の連なりが見られる。草津線の甲西駅から石部駅まで一駅歩けば両地区を通しで歩くことができる。街道集落を存分に味わうことのできる区間である。




石部西一丁目の町並 石部東一丁目の町並 
 




柑子袋の町並


柑子袋の町並

訪問日:2023.06.04 TOP 町並INDEX