石切の郷愁風景

大阪府東大阪市<門前町> 地図 
 
町並度 3 非俗化度 3 −坂道に長々と展開する石切劔箭神社の門前街


 東大阪市の東部、石切町一帯は大阪平野の縁にあたり東を仰げば生駒山地の峰々が連なっている。
 石切神社は正式には石切劔箭
(つるぎや)神社といい、地元では石切さんの愛称で親しまれる。社号は強固な石をも切り裂き貫き通すほど強大であるさまを示しているとされ、その鋭い刃物は腫物を治してもらえると信仰を高め、大坂のみならず関西一円からの参拝客を集めた。


石切劔箭神社








 



 
 門前の町並 


 神社の歴史は千年にも遡るといわれるが、ここでは門前の町並に絞って紹介する。
 近鉄大阪線石切駅前から約1kmにわたり細い坂道の両側に店舗が密集しており、多くの客でにぎわっている。扱う商品も日用品から衣料品、薬など多彩で、飲食店も少なくない。また占い・運勢鑑定の看板も非常に多く目にする。
 これは近鉄線の開通後に発達した商店街で、大正3年に前身の大阪電気軌道が石切駅を設置、地元の有力者は石切神社周辺の開発に躍起になったという。参道の商店街は既に明治時代には形成されていたというが、駅までの道を整備し商店を誘致したことで1kmにも及ぶ参道商店街が急速に発達した。昭和6年の記録では、飲食店29、土産店20、薬店17などとある。
 訪ねたのは年始早々の時期であったので、初詣客が多く参道も神社が近づくにつれ多くの人で賑わいを示していた。店の多くは昔ながらの構えであり、また密度濃く建ち並んでいることから町並的な魅力も感じることが出来る。現代風の店舗が少なく、また人目を引くような奇抜な外観の店、現代の訪問客に迎合したような佇まいの店もないというのは、今となっては貴重なものと言えるだろう。
 なお神社からは参道は登り一方になるため、石切駅方面から辿り、神社近くの新石切駅から帰るコースがお勧めである。

 
訪問日:2022.01.04 TOP 町並INDEX