石脇の郷愁風景

秋田県本荘市【港町】 地図  <由利本荘市>
 町並度 5 非俗化度 9 −子吉川の河口港 重厚な旧家が見られる町並−

         
 県南部の沿岸地域の中心である本荘の町。近世より由利郡の中心であり、また子吉川の河口港として栄えたところである。
石脇の町並を代表する酒造家










 

 関ヶ原合戦後に由利郡を掌中におさめた最上氏は家臣に命じ本荘に城下町を建設している。ただ中世より城郭のあった多くの町とは異なって町場としてはそれほど大きな発展はみなかったという。本荘藩も成立したが2万石ほどの小藩であった。
 一方で市街地を挟んで子吉川の対岸にあるこの石脇は亀田藩領で、川運に際し本荘藩との確執がしばしば起ったといわれるが、港はほぼ亀田藩が独占していた。江戸中期以降西回り航路により上方と北日本との交流が発達すると、ここは北前船と呼ばれた商船の寄港地となり賑わいを増していく。商取引を求めて日本海岸沿いの街道や内陸を結ぶ矢島街道の往来も増加し、多くの産物が集結するにいたり、また上方から貴重な生活物資などが陸揚げされた。
 また海岸近くにある割には清く良質な湧水が得られることから酒造業が発達し、特に明治に入ってからは主要産業となった。
 子吉川の右岸、乗用車が悠々すれ違えるほどの幅員を持つ街路は開放感が感じられ、その両側に伝統的な建物が残っている。特に町の中心に位置する斎弥酒造は和洋折衷の母屋と広大な中庭、蔵などが厳かな雰囲気を醸しており、登録文化財となっている。道を挟んでは大柄な商家の建物も見え、この町並の一番の見所である。
 古い建物が密度濃く連続する風景それほど多くないものの、その他にも妻入り町家が数棟連なって見られる箇所、看板店舗建築などの姿がある。瓦屋根よりもトタン葺きが多いことは積雪寒冷地であるからだろうか。東北北部になると瓦屋根は次第に少なくなり、北海道ではまず一般の建物では見られないものである。
 
 
訪問日:2012.08.14 TOP 町並INDEX