石動の郷愁風景

富山県小矢部市<宿場町> 地図 
町並度 5 非俗化度 9 −倶利伽羅峠を控えた北国街道越中最西端の宿駅−






 
今石動町の町並


 北陸本線の富山県最西端の駅・石動(いするぎ)は難読駅名として知られるが、これは現在の小矢部市の前身が石動町であったことによる。その中心は今石動町というのだからまたややこしい。ここはかつて北国街道の宿駅が設置され、街道集落が発達したところだ。
 中世には城下町であったが、一国一城令により廃され、以後は街道沿いの町として発展を遂げる。もともと城下町時代に町づくりが行われていたことからその基盤は形成されており、氷見方面への街道の追分にもあったことから町は賑わいを示した。加賀との国境に近く、倶利伽羅峠を西に控えて軍事上重要な位置にあり、町奉行が置かれ、また砺波郡下の年貢米の集散地として藩の御蔵も建てられた。
 宿駅としては慶長期に加賀藩から指定されたといわれ、加賀藩の参勤交代時の本陣・脇本陣も存在した本格的なものであった。倶利伽羅峠越えの人馬往来にとって当宿は重要なものであり、また鍛冶などの産業も発達して砺波郡随一の町として位置づけられていった。
 今では県西の小都市とはなっているが、国道の北側に旧街道が明確にその道筋を残している。切妻平入りの町家風建築が随所に残っていて、真壁調の袖壁、せがい造りの軒先とこの地区に特徴的な姿が見られる。中には間口の広い豪壮な商家風の建物も残っており、街道の往来がこの町にとって相当な糧になっていたことを窺い知ることができる。
 国道沿いとは異なり旧街道は車や人の姿もほとんどなく、家並が静かに保存されていた。
 









訪問日:2013.05.04 TOP 町並INDEX