糸崎の郷愁風景

広島県三原市<港町・花町> 地図
 町並度 4 非俗化度 10 −三原城下の外港 遊里の面影も残る−

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糸崎7丁目(旧松浜町)の町並

 

 糸崎地区は三原市街地の東端を占め、糸崎駅を挟んで山側は国道と住宅地、海側は大規模に工業地帯が展開している。但し海側でも一部に住宅地があり、それがここで紹介する風景である。
 この付近は昔は松浜港と呼ばれた。現在の糸崎駅の東側付近は、寛文年間に干拓されたという記録があり、その後三原城主により港が建設された。三原城の外港のような役割を持っていたという。
 旧松浜港は現在は小さな漁港のような雰囲気で、小型の漁船が停泊するのみで大型船舶を受入れていたというかつての面影はない。しかし人工の大きな入江は、現在でも多くの船舶を収容する能力があるほど広く、港湾として申し分ないものであった。
 明治に入って鉄道が建設されると、港と鉄道が近接していることもあって動力用の石炭の荷揚げで賑わい、また機関庫も設けられ糸崎は鉄道の重要な拠点駅の一つとなった。現在でも構内には側線が多く、当駅を拠点に発着する列車も多い。
 港の周囲の糸崎7丁目界隈では古びた木造の建物が目立つ。車の進入を容易に許さない細い路地も多い。そして二階部分に手摺を設けたような遊郭風の建物も幾つか見られるのが特徴である。かつて松浜遊郭というのが存在したらしい。港が繁栄を極めていた頃、船員のための遊里だったのだろう。この遊郭については今ひとつ調査不十分で実態は不明であるが、それらしき建物は町並全体にわたって分布しており、かなりの規模であったと想像できる。 
 工業地帯と新しい住宅地に囲まれ、ここだけ時間の止まったような空気が感じられる。




旧松浜港付近の町並
 

 
 
訪問日:2007.04.29 TOP 町並INDEX