岩倉の郷愁風景

愛知県岩倉市<在郷町> 地図
町並度 4 非俗化度 8 −岩倉街道沿いに発達した商業町−








下本町の町並


 岩倉市は名古屋市の北郊に位置する町であるにもかかわらず、古い町並が旧態依然と残る一角がある。
 中世には城と城下町が存在した。この岩倉城は織田信長に攻め落とされ、城地としての岩倉は短命ではあったが、町の基礎はこの時期に形成されたといわれる。
 北尾張のこの一帯は犬山城を頂点とした扇状地上にあり、岩倉はその末端にある。肥沃な土地と扇端で水を得やすいという特質もあり農業は古くから盛んで、稲作を中心に稗や粟、蕎麦などが盛んに栽培された。また棉作も盛んで、市街地には木綿の仲買人が多く存在していた記録もある。
 名古屋と犬山を結ぶ岩倉街道は、道半ばとなるこの岩倉で大きな商業町を展開させていた。18世紀前半の享保期には早くも市が開かれ、月6回の六斎市が開かれていたという。約百年後の天保期の記録では、岩倉村の商家として米屋9、棉屋・万屋・豆腐屋各7、その他紺屋・桶屋・材木屋・酒屋など各種あり繁盛していたという。
 町並は旧岩倉街道に沿って南北に残り、伝統的な建物は間口の広いものが目立った。これは間口によって課税するかつての制度からすると、豪商が多かったかまたは税制度が緩かったかのどちらかだろう。一部には二階の立上りが高く、堂々たる屋根を持つものもあった。但し、連続した箇所は必ずしも多くなく、都市計画などで根こそぎ更新される可能性も憂慮されるところだ。 
 




中本町の町並




下本町の町並

訪問日:2010.01.01 TOP 町並INDEX