川合(物部神社門前)の郷愁風景

島根県大田市【門前町・市場町】 地図 
 
町並度 4 非俗化度 7  −石見国一宮・物部神社の門前町−





物部神社と門前の町並
 

 大田市街から6kmほど南側、静間川右岸に展開する川合地区。静間川に支流の忍原川が合流する地にあることから生じた地名といわれている。江戸初期にはこの一帯は幕府領(石見銀山領)となったが、寛永20(1643)年に加藤明成が北隣の吉永の地に1万石で入り、吉永藩が成立した。川合村には藩の御蔵が置かれ、周囲の村々からの年貢米が収納された。加藤氏は天和2(1682)年に近江水口に移封になり、川合村は再度石見銀山領に復帰し大森代官の支配下となった。
 当村は石見国一宮である物部神社の門前に開けていることも特筆される。物部神社は継体天皇8(514)年に創建とも伝えられ、武神としても崇敬された。祭礼時には門前市が盛んに開かれ、近郷から商売人が集まった。鳥居前には市という地名も残っているという。
 江戸後期の文政2(1819)の記録では445軒の家屋を数え1700人余りの人口、牛260頭余りを有している。付近の土地は肥沃で、農業主体ながら門前の市場町・商業町としての賑わいもあったようだ。
 物部神社前の街路を中心に、西側を縦断する国道375号沿いにも伝統的な家屋が見られる。規模は小さいものであるが、土塀に囲われたもの、土蔵を従えたものなど商家らしい家々も散見された。通りの北に鎮座する神社の敷地に入ると、集落の雰囲気とは異なり荘厳・壮大さを感じさせ、石見国一宮らしい風格を漂わせていた。









訪問日:2020.05.30 TOP 町並INDEX