三瓶の郷愁風景

愛媛県三瓶町<港町> 地図 <西予市>
 町並度 4 非俗化度 8  −宇和海沿いの湾奥の町 海運業・紡績業など産業が発達−

         

商家建築が散見される三瓶の町並


 

 八幡浜市の南、宇和海に面する三瓶町は深い入江が発達し、その一番奥まったところに中心市街地が立地している。半島状にせり出した地形のため、幹線道路や鉄道は離れたところを通過している。
 江戸時代には平地の乏しさを克服しようと盛んに新田開発が行われ、また塩田も開かれた。明治になるとその土地を利用して紡績工場が建設され、昭和10年代には千人以上の工女を擁していたという。戦後になって綿業は衰退し、交通条件に恵まれない三瓶はいち早くその影響を受け次々と閉鎖されていった。
 漁業、そして海運業も盛んに行われた。宇和島藩の木材を中心とする産物の集散地で、ここから海路に委ねられており、また干鰯などを大坂と取引する者もあり、商業も発達した。紡績業の盛んだった頃は機帆船(補助として内燃機関を持つ帆船)による海運の発達を見た。
 港付近を歩くと、意外な市街地の展開といった印象を受ける。比較的整然とした街路はもと新田開により形成された土地であるからか。間口の広い二階建ての商家風建築が所々に見られ、少なくとも漁村の雰囲気はない。多種の店舗や飲食店が並ぶ商店街の展開もあった。
 古い町並としての連続性は余りないものの、町の姿からはこの町の産業発達の歴史を感じることができるようだ。



 
 
 

本格的な商店街も展開する


訪問日:2021.08.07 TOP 町並INDEX