野村の郷愁風景

愛媛県野村町<在郷町> 地図 <西予市>
 
町並度 3 非俗化度 10 −肱川上流域の在郷町−






野村の町並


 野村町は県南西部、南予地方と呼ばれる地域のほぼ中心といってよい位置にある。肱川に沿った谷間や盆地に集落が開ける。この肱川は長浜で伊予灘に注ぎ込むが、野村より海岸近くに開ける宇和町などの盆地部が最上流部にあたっているという複雑怪奇な流れ方をする河川である。
 江戸期は宇和島藩領であり、藩の督励で厚手の和紙生産が盛んに行われた。これは上方でも評判となり藩の重要な収入源となった。上流域や周囲の山村からの物資が集まり、小規模ながら在郷町的に発達した。一方で宇和島藩の苛政は村民の生活を締め上げ、隣接する大洲藩領域の村々との処遇の差もあって一揆が頻発した土地でもあった。
 深い山々に囲まれたといった野村の市街地は意外と開けており、商店街や繁華街といった一通りの体裁も保たれていた。伝統的な建物はわずかしか残っていないが、在郷町以来の歴史を持った町であることは訪ねていて実感できる。旅館建築や洋風の装いをした商店もあり、かつての賑わいを想像できる町の風景が連なっていた。
 
 








 

訪問日:2013.06.08 TOP 町並INDEX