津島の郷愁風景

愛媛県吉海町<港町> 地図 <今治市>
 町並度 6 非俗化度 10 −海運業で栄えた島 いつまで町並にその名残を保てるか−


 津島は今治市の北、大島の西に位置し来島群島の一つに位置づけられている。大島の幸港という小さな港から一日3本の定期船で結ばれている。
船着場近くの風景 




 島のメインの街路である船着場からの一本道 立派な家々が密集する




路地には土蔵や門を持つ家屋も散見される






 古くは津倉湾の入口にあることから門島と呼ばれていたが、島自体も舟運上の重要な基地として発達したことから津島と呼ばれるようになったという。戦国期には北岸に砦が築かれていたとされる。
 島は平地がほとんどなく水も得にくいため耕地に乏しく、また漁業も余り発達しなかった。産業としては海運業が主で、船乗りとして他村へ出稼ぎをする例も多かったという。
 明治21年までは津島村という独立自治体で、明治4年の統計では戸数104・人口462であったように、海運業に支えられ賑わっていた様子が伺える。
 島の北東部にわずかな平地があり、ここに港と集落がある。メインの通りは港から真っ直ぐ山に向かう道で、両側に板壁黒瓦の風情ある家々が連なっていた。この付近に有力な海運業者が居を構えていたのだろうか、土地は狭く広い敷地を持つものはないが、中庭や路地に面して土蔵を持つもの、瓦屋根を葺いた小さな門を持つものなど、小さな島の漁村集落としては立派な佇まいという印象だ。海運業で潤った時代があったことを物語っているようだ。
 島は人口の減少が著しいようで、港では数人の地元住民の下船があったが、多くの家では人の気配が感じられない。廃屋同然になったものも少なくなく、蔦などの植物に覆われているものもあった。町並・集落の情報を得て訪ねる機会を得た島だが、これが多くの中小離島の現実なのだろう。
          

訪問日:2018.06.30 TOP 町並INDEX