樫井の郷愁風景

大阪府泉佐野市<街道集落> 地図
 
町並度 4 非俗化度 10 −旧紀州街道沿いに豪農を思わせる邸宅が散見される−



 


 
 樫井の町並
 

 泉佐野市域の西端付近、忠岡町に接する辺りに位置する樫井地区。大阪湾に注ぐ樫井川右岸に古くからの集落が展開している。
 江戸期は最初岸和田藩領であったがその後幕府領や越前長岡藩領など度々変遷が加わっている。歴史上に登場するところでは、大坂夏の陣の主要な合戦のひとつとなった樫井の戦いが勃発した所である。
 古い町並は国道26号の南側、乗用車が辛うじてすれ違えるかほどの街路に沿い街道集落的な展開を示していた。この道は旧紀州街道(熊野街道)であり、旅客や物資の往来も多かったと思われるが宿駅などの業務が行われていたという記録はない。家々の姿も土蔵を道沿いに構え主屋は少し控えた位置に建てられていたり、また長屋門を構えるものもあるなど、農村集落的なものであった。本瓦葺の屋根を持つものも多く見られた。
 そんな町並の中で特筆されるのが奥家住宅で、漆喰に塗られた表門が特徴の当家は中世に存在した樫井城(籾井城)の城主に任命され、江戸期には樫井村の庄屋職をつとめていた。内部の見学はできないが重要文化財に指定されている。
 国道沿いを走っているだけでは古い町並がありそうな地区には到底思えないところで、その意外性からも印象度が高まるようだ。


 


 
 重文・奥家住宅  
 

 

   
   
訪問日:2022.11.20 TOP 町並INDEX