大木の郷愁風景

大阪府泉佐野市<農村集落> 地図
 
町並度 5 非俗化度 8  −泉南の内陸部に展開する農村集落−



 


 
 大木の集落風景
 

 泉佐野市大木地区は和泉山脈から流れ下る樫井川沿いに集落が開ける。泉佐野の市街地方面から向うと、細い谷間が開け小盆地状の地形を呈している。
 中世には日根荘が置かれ、当村は領主九条政基のもと入山田四ヶ村の一つに数えられていた。九条氏は村内の長福寺を居所と定め、域内の行政や紀伊根来寺の勢力の防御などを行った。
 江戸時代は岸和田藩領で、紀州とを結ぶ街道に貝塚から水間寺を経てきた道が合流するところであったが在郷町的発達は余りなく、農村集落として経過したようだ。主要な産物は米・麦・柑橘類や松茸などがあり、楊梅(ヤマモモ)は『五畿内志』にも紹介された。
 樫井川の谷間には段丘状の比較的平坦な土地があり、集落は主にそこに展開している。家々の固まっている箇所は幾つかに分散した形となっており、その間は水田など耕作地となっている。それらの景観は日根荘の時代から大きく変わっていないとして、大阪府はここを重要文化的景観として指定している。地内で建築物や工作物を築造する場合は、その規模などによっては景観法に基づく届け出が必要など、景観を守る法整備も行われている。
 集落内を歩くと、家々の佇まいが思いの外立派であると感じる。入母屋屋根を持つ堂々とした主屋に土蔵を挟み付属屋を従え、瓦を葺いた板塀で囲われた屋敷。或いは虫籠窓を持つ商家風の佇まいなどさまざまな姿が見られ、それらが緩やかな坂道に展開する姿は趣十分であった。探訪の途中から小雨となり、一層風情が感じられた。
  


 


 
 

 

   
   
訪問日:2022.11.20 TOP 町並INDEX