十六島の郷愁風景

島根県平田市<漁村> 地図  <出雲市>
 町並度 4 非俗化度 10 −避難港として使われた漁村 名産の海苔は藩主の献上品だった−
 

 島根半島の西部、切れ込んだ湾奥に十六島地区がある。うっぷるいと読み、その風変わりな地名の由来は複数伝えられるが、古代朝鮮語によるものとする説、漁民が海草を打ち振るって日に乾かすさまに十六善神の字を当てたという説などがある。
 江戸時代は松江藩領、寛政4年の記録では575名の人口を有し、船は百石積1・八拾石積1・五拾石積1・渡海舟2・伝渡舟13ほか多くの漁船を有していた。
 深く入組んだ湾奥は風待ちや避難港として使われ、西回り航路の商船も寄港した記録がある。幕末の頃には数軒の廻船業者もあり、商港としても賑わいを見せていた。
 現在でも名産品として知られる十六島海苔は江戸期には藩主への献上品で、他国への販売を禁止されていた。
 
 狭い平地から斜面に向けて展開する十六島の集落風景  


 


 
 

 

 平田の市街地方面からは小さな峠越えはあるが比較的平坦な道のりで、湾奥に突当たったあと東岸をしばらく進むと集落に差し掛かる。平坦な土地はほとんどなく家並は斜面を駆け上がるように形成され、典型的な密集型漁村集落の形を示している。中心となる谷間の道以外は車輛は通行できず階段や急坂で家々が結ばれる。家屋はそれほど古いものではないようだったが赤瓦を中心とした屋根並が見応えを感じる。
 南側の少し離れたところにも集落がある。どちらが主体的な集落かはよくわからなかったが、後者は高台に立派な神社があり、鳥居を配した眺めは絵になるものがあった。
 

 
 



 

 

訪問日:2022.06.05 TOP 町並INDEX