神石の郷愁風景

広島県神石町【商業町・街道集落】 地図  <神石高原町>
町並度 4 非俗化度 10 −要の位置として市場町・街道の要衝として発達−












福永(呉ヶ垰地区)の町並 
 
 
 神石町は県の東北部、地形的には吉備高原の西端部にあたり標高500mほどの台地上に集落が点在する形となっている。中心の福永地区は高光川沿いに開けた狭い平地に展開している。この川は町域北部で帝釈川と合流し景勝地帝釈峡を形成している。吉備高原は石灰岩台地が各地に見られるのも特徴で、鍾乳洞などもある。
 地図を見ても幹線道路からも遠く交通の便はよろしくない位置にあるのがわかる。しかしここを扇の要のようにして、各方面に道が分岐しており、それはこの町の歴史を最もわかりやすく物語るものと言える。
 中心集落の呉ヶ垰は高光川右岸沿いに街村的に展開する。神石郡の中心として古くから位置付けられ、牛市が常設されるなど商業が発達、各種商店が立ち並んだという。また街道の要衝ということから宿駅的な役割も帯びていたといわれている。
 呉ヶ垰集落は300mほど街路沿いに家々が連なる。旅館の看板を掲げた立派な建物もあった。商業の拠点、街道の要衝として賑わっていた頃の様子は如何ばかりだったであろうか。呉服店や理髪店、建材店、煙草屋など様々な看板のある建物を見かけ、ここに来れば一通りのものは手に入っていただろうし、小さいながら一つの商圏を形成していたのだろう。今は閉じているものがほとんどであったが、町並の南端近くで営業されている店舗は服飾雑貨をはじめ食料品など様々な商品を販売している様子で、この万屋的な店が孤軍奮闘しているようであった。
 
 

訪問日:2021.03.14 TOP 町並INDEX