城島の郷愁風景

福岡県城島町【産業町】 地図 <久留米市>
町並度 5 非俗化度 6 −酒造家のつくり出す町並−




城島の町並 造り酒屋の建物が自ら古い町並を形成している


 城島町は筑後川の下流に接する低平な平地に位置し、中世には城島城が構えられた。川を境に肥前に接する土地でもあり、戦略上の要地であったのだろう。
 江戸期は久留米藩領三潴郡に所属し、藩の定めた7つの組の一つ城島組は肥前との国境警備も司り、遠見番所も置かれていたという。
 一方で文政12(1829)年に始まるといわれる酒醸造業は城島の主要産業となり、「九州の灘」と呼ばれるほどの名醸地となった。灘は硬水を用いた酒が主だが、城島の酒は軟水の酒で女酒ともいわれた。
 さらに瓦や和傘もこの町の産業として盛んで、特にいぶし瓦は現代でも九州で生産されるの和瓦の3割ほどのシェアを占めているという。
 江戸期にはじまる数々の造り酒屋は、そのまま今でも銘酒の産出される地として根付き、その趣が町並風景そのものとして現在に受継がれていた。或るものは漆喰に塗られた清潔な白壁土蔵の路地風景を見せ、他のものは土塀に長々と囲われ、厳かな佇まいを見せる酒造家の姿であった。板張りで寄棟の屋根を持ち、洋風のにおいを持つものもあった。一部では市によって酒蔵公園として整備されており、酒の町城島として売り出す態勢も整えつつある。
 この付近の一般の住宅はほとんど伝統的な建て方は見られない。古い建物は全て酒造家のものであり、それらが自ら古い町並を形成していた。
 








 

訪問日:2008.08.16 TOP 町並INDEX