重要文化財の建物

−旧遷喬尋常小学校−

(岡山県真庭市−旧久世町)


 岡山県北部、美作地方西部に位置する久世の町。かつては山陽山陰を連絡する街道の要衝となっており、商業も古くから栄えた町である。現在も高速道のICも設けられ、市街地が形成されているが、全体的には山間の田舎町という印象である。
 そんな中にあって一際異彩を放つのが明治期の学校建築「旧遷喬尋常小学校」である。明治40(1907)年に建築、その威容は現在に至るも衰えず抜群の存在感を誇る建物である。
 内部も見学することが出来、1990年まで校舎として実際に使用されていたこともあり、教室に入るとまだ現役感が感じられる。
 校舎内で見所なのは、二重折上げの天井をはじめ細部に凝ったつくりとなっている講堂、1・2階間の螺旋階段などで、かなり贅沢に造り込まれている印象だ。学校そのものが地域のシンボルであるというその気概をもとに建てられたことがよくわかる。
 洋風の伝統的な建物も人知れず取壊されるものも多い中、ある一定数は国や自治体によって保存されているが、その中でも学校建築というのは非常に数が少なく貴重なものである。

 
 
旧遷喬尋常小学校 国道180号線沿いからもその威容を感じることができる




  
教室 懐かしい雰囲気で近年映画の舞台としても使われた








講堂 長年使われて光沢が増した床 天井は補修されているが建築当時の二重折上げの凝ったつくりを保っている




池を配した見事な庭園 山裾の地形を巧みに利用した絶妙さは心憎いほどである

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