重要文化財の建物

−旧木原家住宅−

(広島県東広島市高屋町)

 
 
坂道に沿って建つ旧木原家住宅
 
 東広島市域の東部、高屋町白市地区にあるこの木原家住宅は現存する町家建築としては全国屈指の古さで、鬼瓦に残る署銘より寛文5(1665)年築造と推定されている。
 古い街道沿いに発達した白市は牛馬市などで栄え、木原家は町並の中央で酒造業を営み、また瀬戸内沿岸で製塩業も手がけていた。
 坂道に沿い赤瓦系の家並が展開する風情ある町並の中で、銀色の本瓦を葺いた木原家はひときわ厳かな姿に映る。現在は主屋と土蔵の一部が残るのみだが、かつては南側や背後に離れや多くの土蔵が建ちならんでいたといわれ、豪商と呼ぶに相応しい構えを有していたという。
 商家らしい大戸をくぐると、裏手まで広い土間が貫いている。かつてはここを荷が行き来していたのだろう。三和土(たたき)で固められただけであり、その凹凸の多さからもその様子が想像できるようだ。
 土間と居住空間に襖などの仕切りが一切ないのも特徴で、これも古い時代の町家の構造を残している。座敷は2列あり、土間寄りに玄関側から商談を行う店に続き来客等との接客に使う中の間・次の間(板の間)と続く。奥に接して上客の接客に使う座敷、寝室として使われた納戸がある。
  




  
 つし二階の構造であるが、二階部に虫籠窓などの開口部がないのも珍しく、古い姿を示しているといえるだろう。
 この木原家をはじめ、白市は何度も訪ねているが、いつもほとんど探訪客が見られない。その価値があるのにもったいないと思う。最近になって駐車場等も整備されている。
三和土で固められた土間




土間と居住空間には仕切りが無く 奥に寝室などに使用された納戸がある




 
板張りの間が段違いとなっている 右側の入口に近い方が外来客用で一段高く 左側は近所の日常客用であったという 家らしく店の間は蔀戸で通りに対して解放的な造りとなっている




寛文5年と記されている鬼瓦 主屋裏手の井戸 酒の仕込み等にも使われていたか


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