文化財の建物

−旧鹿児島紡績所技師館・旧集成館機械工場−


 
 
旧鹿児島紡績所技師館 木質感の高い洋風建築である 錦江湾を望む張出部が特徴だ
 

 鹿児島紡績所は日本初の近代的紡績工場であった。幕末の慶応期、島津家の命により視察団と留学生を英国に派遣、その成果をもとに紡績工場が建設された。しかし、工場で稼働させる蒸気機関をはじめとした機械類の設置、運転技術などは海外の技術者に頼らざるを得なかった。現地で機械を買い付けた視察員らは、鹿児島に技術者を招いて準備と指導を要請した。
 彼らのために建てられたのが通称異人館と呼ばれる技師館であり、現在も当時のまま文化財として保存されている。木造瓦葺きながら洋風の外観および内装を持ち、張り出し部からは窓一杯に桜島が望める。
 工場群は「集成館」と呼ばれ、当時我国初の本格的な洋式工場群であった。それらで稼働する機関・機械類の整備を行った建物が技師館から少し離れた仙巌園内にあり、現在は尚古集成館という名で博物館として内部が使われている。凝灰岩で建てられた広大な平屋の建物はわが国初の様式石造機械工場であり、まさに当時では国内で最新鋭の工場地帯だったのである。
 ここで紹介する建物をはじめとし近代産業遺構が程度良く残っているとして、2015年「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に登録されるに至った。
  




 
百畳間ともいわれる二階の大広間 広い舞台は様々な演芸が取り行われたという




旧鹿児島紡績所技師館の内部 桜島を存分に望めるように設計されているのがわかる


 


 
工場群の機関や機械の整備を行った石造の建物「尚古集成館」 現在は博物館として使われている


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