香登の郷愁風景

岡山県備前市<商業町・街道集落> 地図
 
町並度 5 非俗化度 8  −旧山陽道に沿った商業町−




香登の町並


 香登は備前市域の西部、吉井川の東、国道2号線の北側の旧道に沿って東西に細長く集落が展開している。この道は旧山陽道であるが、この香登は西の一日市宿、東の片上宿の間に挟まれ間宿としての機能もあり、また商業の盛んな街村として機能していたらしい。
 奈良時代から名の見える古い村で、かつては香登荘とよばれる荘園があった。中世には山城もあったとされるが、町場として本格的に繁栄をみるのはやはり山陽道の通行が盛んになってからのことであろう。中心となる香登西村は味噌、醤油の醸造業が盛んで、現在でも威厳ある構えで営業されている姿を見かけ、「醤油ソフト」を名物として売り出している店も平入りの町家スタイルのままであった。その他、菜種油や木綿、薪など。近在の村々からの諸産物の集散地でもあった。膏薬「六介膏」はこの町の名物として各地に売り広められていた。明治初期にはお歯黒が名産となり、明治5年から6年にかけての約1年間で懐中はぐろ24万袋を販売した記録が残っている。
 ここでは東西に1.5kmにわたって家並が続いており、あちこちに歴史を感じさせる町家が残っていることから、当時から大きな町場であったことが容易に想像できる。現在残る古い町並としての印象は、宿駅であった一日市、藤井、東側の片上よりも強く伝わってくる。町並の東端近くでは、寺の敷地内に一里塚の跡が保存されており、山陽道に沿った町であることを実感させてくれる。




 古い構えのまま営業されている醤油屋

 これも醤油屋。左は備前焼の店。





訪問日:2005.05.04 TOP 町並INDEX