嘉川の郷愁風景

山口市嘉川<街道集落・市場町> 地図 
 
町並度 4 非俗化度 10 −旧山陽道沿いの市場町−


   小郡町の西側に、現在は山口市域となっている嘉川の町がある。かつて山陽道が通り、小郡宿と山中宿の中間地点で正規の宿場ではなかったが、商店が軒を連ね、嘉川市と呼ばれていた。
山陽本線嘉川駅付近の町並




嘉川の町並 妻入の町家も残っていますが外形を留めるのは2階部分のみでした。




この地域では2階正面に持送りのようなものを取付けた姿が時折見られます。
 

 古代の山陽道ではここに駅が設けられており、駅馬二十匹、東は八千(現山口市鋳銭司付近)から西は阿潭(宇部市厚東付近)に継いでいた。駅制が崩れた後もこの地に集落が残り、藩政期にも市場町として存続した。集落としては後発的な宿場町よりもさらに歴史が古いことになる。
 宿駅としての嘉川市は、「注進案」によると70余軒の家屋のうち年寄職1軒、人馬の繰出しなどを任務とする目代職2軒あり、他は2軒ずつ、一昼夜交代で市の役目についていたとされている。
 旧街道はこの町の中央で山陽本線と交差する。凡そこれより西側が宿駅の機能があった嘉川市の中心で、後になり東に町場が伸びて新市という名で呼ばれていた。
 現在の嘉川の町並では穏やかな丘陵地に開かれた街道らしい姿で、緩いカーブと坂道をもって連なる。所々に漆喰を塗った平入・妻入の町家、土蔵などが見え、山陽本線の踏切の西で街路が直角に近く折れ曲る辺りを中心に、古い町並らしい姿を保っていた。
 今では商いをする家もなく大半が近隣に勤めに出られる家庭のようで、郊外の住宅地となっているようであった。
 


訪問日:2004.02.15 TOP 町並INDEX