角田の郷愁風景

宮城県角田市<商業町> 地図
 
町並度 4 非俗化度 10 −洗練された蔵造りの商家が散見される−






蔵造りの旧家が散見される角田の町並。厳かな門を従えたものも多い。 大地主の邸宅を譲受けた角田市郷土資料館








 角田市は宮城県南部の内陸部にある小都市である。
 阿武隈川の西岸の平野部に市街地が開け、周辺は農村地帯となっている。江戸時代には角田本郷と呼ばれていて、石川氏が400余りの侍屋敷を従えて一帯を統治していた。この石川氏は旧領の現・福島県石川町から相当数の住民を移住させ、寺社の移転もさせた。また阿武隈川の治水にも努力を傾注し、町の基盤を作った。角田は伊具地方と呼ばれるこの一帯の中心都市となった。
 発展の支えとなったのは阿武隈水運であった。江戸期は街道による陸運もさること乍ら川運による商取引、交通も盛んで、川の要津にあった角田は仙台や江戸の文化も容易に取入れられる位置にあった。角田本郷は亘理や白石とならび直取引も認められていたようで、町内には多くの商家が建ち並んでいたことが想像される。
 街中には土蔵建築、町家建築が多く残っている。但し固まって残っている地区はなく散在しており、連続した町並としての見応えはない。しかし個の質はよく、2階部に観音開きの戸を従え、海鼠壁を施した店蔵、切妻で重々しい屋根を持つ町家など商業都市としての繁栄を物語るものだった。
 本町にある郷土資料館は明治から大正にかけての大地主であった氏家家の邸宅を公開したもの。その他この界隈にある数棟の土蔵造りの建物は洗練されていて、その横に瓦を葺いた門を従えていて威厳と格式を感じさせた。
 伝統的な建物は広い範囲に分布していて、規模も大きく栄えた町であったことを示していた。






訪問日:2005.05.21 TOP 町並INDEX