上郡の郷愁風景

兵庫県上郡町<商業町・川港町> 地図
町並度 5 非俗化度 9 −千種川舟運の中継地として発展した−







 上郡町は県南西部、千種川の中流域にあたり、安室川・鞍居川などの支流を合して小盆地を形成している。
 千種川はかつて物資の輸送が盛んで、河口部の赤穂と佐用郡久崎との間に高瀬舟が往来していた。上郡には木場と呼ばれる河港があり、中継所として位置づけられた。港の周囲は物資の集散地として町場が発達した。





 明和6(1769)年には尼崎藩による陣屋も設置された。赤穂郡・宍粟郡内にある同藩の飛び地を管轄していたという。陣屋は廃藩まで置かれ、現在の上郡小学校付近が跡地となっている。
 千種川左岸の一帯が古くからの町の中心で、鞍居川の合流点付近から下流側に開ける。川に平行している本町界隈が中心と思われる。現在は堤防下の土地となっているがかつては家並の背後に川が流れ、港に直結していたのだろう。平入りの町家建築が意外な規模で見られ、古い町並が現存していた。造り酒屋の立派な建物もあり、在郷商業町として発達していただろうことが伝わってくる。
 明治になり鉄道が開通すると舟運は衰退したが、岡山方面に延伸されるまでは一時山陰や山陽への玄関口となり再度の発展を見た。






訪問日:2019.07.13 TOP 町並INDEX