中甑島平良の郷愁風景

鹿児島県上甑村 【港町・漁村】 地図 <薩摩川内市>
町並度 5 非俗化度 10 −貿易と漁業で栄えた中甑島唯一の集落−

 
  川内川河口より約30km沖合、東シナ海上に大きくは上甑・中甑・下甑島と連なる甑島列島。平良集落は中甑島の東岸、小さな湾岸に面し外海の風波が遮られ、港そして集落が構えられるには適した地形である。上甑島からは中島という島を挟んで1990年代前半に架橋されている。
 宝永9(1712)年に沼沢地帯だった箇所を改修して平良港が築かれ、以後は列島屈指の漁港として発達した。また大陸に近いことから密貿易の拠点・中継地としての役割も帯びていた。島津藩は鮑や鱶ヒレなどの高級食材を他国に販売し利益を得ていたといわれ、特に鮑は蝦夷地などからも仕入れて当地に集約、南西諸島を経由して台湾や中国、東南アジア方面に販売されていた。
 集落は漁港沿いの車道の一本山側の一本道に中心街が展開しており、歩いても10分足らずで一巡できるほどの小規模なものである。
 しかしその佇まいは独特のものがあった。寄棟の平屋が目立ち、通りに面しては生垣や石垣で囲み、比較的敷地も広くゆったりとした建て方である。その外観から沖縄の集落を想起させるものがある。これは貿易業を介して琉球の文化が伝わった証なのだろうか。
 通りを突き当たったところには恵比須神社と鳥居に書かれた小さな祠があり、集落を見守っているようであった。


 


 
  寄棟・平屋の家々が特徴的な平良の町並 




 


 


 


  
訪問日:2020.01.04 TOP 町並INDEX