上塩尻の郷愁風景

長野県上田市<産業町・街道集落> 地図 
 
町並度 6 非俗化度 10  −上田藩領一の養蚕地−




 上塩尻の町並 


 上田市域の北部、千曲川右岸に上塩尻・下塩尻という地名がある。これは松本の南にある塩尻と同様、日本海からの塩輸送の終点を表すものなのか、興味深い地名である。
 そのうち上塩尻地区に残る町並をここで紹介する。
 国道18号としなの鉄道線(旧国鉄信越本線)が並行して走っており、その北側の山裾に沿うような形で東西に街路が延びている。旧北国街道の一部でもあったこの界隈は大柄な商家の建物、土蔵、長屋門を思わせる漆喰塀の門など厳かな佇まいが見られ、養蚕家が多かったらしく大きな越屋根を持つものも多い。
 江戸時代に属していた上田藩内では蚕種生産量が最多、木綿や紬の生産も盛んだった。特に紬は上田紬と呼ばれ有名だった。それらの販売商人も多く、また紺屋や鍛冶などの商工人も若干あり、街道集落というよりは産業の町として発展したようだ。
 現在は実際養蚕をされている様子は伺えないが、母屋の立派なつくりを見ると、養蚕、木綿産業などによってかなり裕福だっただろうことがわかる。市街地からはずれ、国道から陰に隠れたような場所にあるがかつては上田城下に近い商業地として繁栄していたのだろう。
 
 









訪問日:2014.09.14 TOP 町並INDEX