上円井の郷愁風景

山梨県韮崎市【街道集落】 地図 
 
町並度  4 非俗化度 10  −旧甲州街道沿いの集落−








長屋門や土蔵の見られる円野町上円井の町並


 釜無川の右岸、韮崎市の最北端部にあたるところに上円井地区はある。 
 国道20号で甲府方面から向かうと、穴山橋で右岸に渡った直後に右に分岐する旧道がある。旧甲州街道で、この上円井集落は潰されることなく往時のままの街路幅だ。緩やかに登り勾配をなし曲線を描く旧街道らしい両側に家並が展開している。町並の印象はまず街路に接して土蔵が多く見られることで、一般に街道集落の町割は間口が狭い割に奥行が深く、土蔵は裏手に建てられるのが普通であるが、宿駅の指定を受けていたわけではないので建て方もゆったりした農村集落的なものだったのか。また重厚な長屋門をはじめ門構えを見せる姿も印象的だった。
 中世には南に接する下円井村と合せ円井郷と称していたとされる。明治7年に入戸野村を含めた三村が合併し円野村となった。19世紀初頭の文化年間の記録で家数108・人数337に対し馬42・牛21とあることからも、街道集落というより農村集落的要素が多かったものと思われる。
 国道を走っているだけでは気付かずに通り過ぎてしまうようなところであるが、小さいながらも特徴のある町並風景が展開する。

 






訪問日:2018.09.22 TOP 町並INDEX