金木の郷愁風景

青森県金木町【商業町】 地図 <五所川原市>
 
町並度 5 非俗化度 7 −太宰治の故郷としても知られる北津軽の在郷町−
 


 金木町は津軽半島のほぼ中央、西側は岩木川が十三湖に注ぐ低湿地帯、東には半島の脊梁となる山地が展開する。町を南北に津軽鉄道が縦断、国道も走るが幹線道ではないので地方の静かな小さな町といった印象だ。
金木のシンボルである斜陽館(重文)


 







 

 江戸時代に入り、藩により地域一帯で新田開発が盛んに行われた。寛文11(1671)年にはこの周辺でも始まり、治水工事とともに11ヶ村が開発され、金木新田と呼ばれた。
 金木には代官所が設けられ、藩蔵も設置されて周辺の村々からの年貢が集められた。北津軽の中心地の一つとして徐々に重要性が増し、質屋、酒屋等商売をするものも現れた。また弘前の豪商の移住などもあり、在郷商業町として発達をみた。 
 産業としては東部の山地で良質の木材が得られ、また漆林もあった。それらは藩の管理のもと、山師により伐採され岩木川を遡って弘前城下に運ばれた。また他藩に移出されるものは十三湖を経由して鯵ヶ沢まで運び、そこから大型の船に積替えて各地に帆送されていた。
 市街地は岩木川の支流の右岸、やや小高いところに展開している。古い町並として伝統的な建物が連続しているという風情は淡いものだが、商業が栄えた町らしいという歴史は、妻入りの町家建築があちこちに見られることで感じ取ることができる。中でも太宰治の生家として知られる津島家旧屋敷は、斜陽館と名付けられ多くの見学客を迎え入れている。旅館として使われていた時期もあったが現在は資料館として公開されている。観光施設としてのみならず建物自体も非常に見応えがあるもので、古い町並の景観に大きく貢献し、町のシンボル的な建物だ。国の重要文化財にも指定されている。
 その他にも在郷町以後の世代の町並として、看板建築の商店建築が連続する箇所もあり、やや大味ながらもこの地方らしい町並が展開していた。
 ここを訪ねるのは五所川原からの津軽鉄道を利用し、途中下車しての探訪がお勧めといえよう。
 
 
 

訪問日:2017.01.01 TOP 町並INDEX