東山・主計町の郷愁風景

金沢市東山他<花町> 地図
 町並度 7 非俗化度 2  −大城下町の歓楽街−
 



金沢市は戦時に空襲の被害を受けていない。市内の随所に城下町時代の古い姿を残し訪れる人が絶えない観光都市である。
 金沢城を中心に渦巻状に城下町が形成され、南北に北国街道が通過し、浅野川と犀川が流れている。ここで紹介するのは城下町の北東部、浅野川を挟んで展開する茶屋街である。
 東岸の東山地区には数箇所に分かれて残存する茶屋街のなかでも最大規模の東茶屋街があり、近年重要伝統的建造物群保存地区にも指定された。金沢を代表する町並として訪問する外来客が絶えないが、人通りの少ない早朝や夕方には、いかにも古都の花街らしい落着いた、しかも繁華な風情を感じさせてくれる。
 文政3(1820)年に東の廓として設置されて以来、この界隈には町人、文化人たちの集う場であり、遊興の場であった。
 特に観光写真にも登場する一本道は混じり気のない全くの茶屋建築で統一されている。当時2階建が禁止されていた中で特別に許可されていたため総2階で統一され迫力がある。京都祇園を想起させる風情である。ただこちらでは2階部が祇園のすだれに対し、木の引戸である。客を呼ぶ時は開けておいたのだろうが、無骨な美しさがあった。
 中心となる二番丁では舗装が石畳に整えられ、電柱が撤去され土産物屋等も見られ、観光客にあしらったような色が濃く感じられるが、裏路地に入るとかつての茶屋街そのままの風情を味わえることであろう。
有名な東茶屋街の佇まい



 東茶屋街の町並




一つ路地裏に入ると三味線の音が聞こえて来そうな風情です。 茶屋街と浅野川に挟まれた辺りの町並






 浅野川大橋に立って金沢城や兼六園の方向を見ると、川沿いに趣のある古い二階家が連なっているのが見える。ここが主計町茶屋街である。主計の名は、加賀藩主であった富田主計の邸宅があったことから名づけられたと言われる。川沿いから一筋裏手の路地に入ると、弁殻格子に塗られた渋い茶屋街が連なり、今でも料理屋などとして営業されていた。観光客向けとなっている東茶屋街とは異なりこちらでは現役の茶屋街という印象であった。
 浅野川を挟んだこの界隈はふらりと散策するにふさわしいところだ。川音を聞きながらかつての殷賑に思いを馳せることのできる、金沢らしい風情の一角である。
浅野川大橋を挟んだ主計町にも茶屋街が伸びています。




主計町の路地風景


訪問日:2003.11.03 TOP 町並INDEX