尾張町の郷愁風景

金沢市尾張町【商業町】 地図
 
町並度 5 非俗化度 7 −金沢の商業中心地であった−

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 金沢市尾張町は市内でも最も伝統的町並を残している一角といえよう。武家町あるいは古くからの繁華街としての姿が濃厚に残る地区はあるが、町家の見られる商業都市としての顔としてである。
 前田利家による大城下町金沢建設の際、城下の本町の一つに数えられた尾張町は、尾張国荒子(現名古屋市中川区)の商人を召集し町人町を形成したため名付けられたともいわれている。
 江戸期には米の仲買商が集積し、城下町中でも経済的中心としての役割が濃かった。江戸からの集荷場も当地に設けられ、物流の中心ともなっていたことも発展に大きく貢献するものであった。よって各種商人がここに居を構え、明治を迎えている。道路拡張などにより往時の町割りはそのままではないものの、戦災から逃れたこともあり建物は面影を留めているものも少なくない。
 間口が広く、1階部に見事な出格子を配した商家建築。虫籠窓や袖壁をたずさえたものもある。そして特筆すべきは、二階屋の奥に立上った中三階ともいうべき構造を持つ旧家が数棟見られることだ。その重層性も金沢の商家を特徴付けるものの一つだろう。出格子は金沢ではキムスコ(木虫籠)と呼ばれているようだ。
 近代洋風建築も残り、明治の頃の繁栄の姿を今に伝える地区である。