天神町界隈の郷愁風景

金沢市天神町<商業町> 地図 
 
町並度 5 非俗化度 7 −金沢城の築かれた細長い丘の崖下に連なる商家群−
 


 
ある程度市街地を回られた方ならお気づきと思うが、金沢の市街地は意外と起伏の多い地形である。地図を見ると浅野川と犀川の下流域、低地地に展開するかに思われるのだが、両河川の間には丘陵地帯が市街中心にまでせり出し、その先端に金沢城が築かれた。自然の地形を生かした要塞といえる。
 ここで紹介する天神町界隈は丘陵部と浅野川との間に位置し、その境界は崖に近い急斜面をなしている。ここや犀川左岸の寺町に向けての一角など、急峻な地形をなしているところもある。
 この天神町付近では、山裾ということで地下水が得やすく当初は自然発生的に家々が集まったものと思われるが、今伝統的な建物の見られる道筋は越中福光などを結ぶ街道にもつながり、城下の入口にあったところとされている。確かに今でもここから浅野川を渡り道を辿ると南砺地方に達している。
 そうした要素もあって、桶屋・鍛冶屋・髪結い・塩屋などの商いをする家が集積していたという。中心繁華街や幹線道路沿いから外れている事もあり、それら商家の色濃い名残が感じられる。
 










 

 家々は切妻平入りに統一された都市型の姿で、間口は狭い分連続性が感じられる箇所も多い。真壁の袖壁や二階部、一階部の格子が残っている旧家も見られ、古い町並として十分評価できる町並が展開していた。東茶屋街など町並として有名なところ、観光客の多く訪れるところが他にも多くあることもあり、ほとんど外来者の訪れはないようであった。
 市はこの天神町一帯を「こまちなみ保存区域」(歴史的風情が感じられ、小さなまとまりを持つ町並)に指定し、独自に保全活動を行っている。

訪問日:2015.06.14 TOP 町並INDEX