金浦の郷愁風景

岡山県笠岡市<漁村・港町> 地図
 
町並度 5 非俗化度 10 −奇祭が伝わる古い港町−





 笠岡の中心街から西側に1km余り、金浦地区は深い入江に面したところにある。近年になって干拓や埋立てが行われ、海からは5kmほど奥に位置している。
 金浦の名は古くは平安期の書物にも登場するという非常に古い歴史を持つ。近隣の漁業の中枢をなすところとして開けてきた。瀬戸内海の海運の中で、西回り航路の盛んであった頃は、主要港ではなかったようであるが寄港地の一つともなっていたようである。






 入江の東側に、港町、漁村として栄えた古い家並が残る。格子がよく保存され、多くの旧家では土蔵を従えている。中でも入江にかかる橋のたもとにある屋敷の規模は相当なもので、漆喰が塗られなまこ壁に彩られた土蔵に囲まれ、母屋は本瓦が見事に残り、通りに面しては親子格子、虫籠窓、二階部の出格子などが見られる。
 まったくといって良いほど知られていないが、古い町並として見てもなかなかの見応えがある。しかも初回訪問時より約20年の間、大きく町の風景が変わっていない。貴重なことといえるだろう。
 なお、この金浦地区には「ひったか」「おしぐらんご」という伝統行事がある。旧暦5月5日頃に連続して行われる祭事で、いずれも源平合戦が起源といわれている。前者は入江を挟んで両側の山腹に提灯で模様を描き優劣を競うものであり、後者は内湾に和戦を浮べ早さを競うものである。いずれも源氏方・平家方に分かれて行う競技である。この辺りからもこの地区の歴史性の高さが伺えるところである。





金浦の町並 金浦の町並


 

※全て2022.05最終訪問時撮影


訪問日:2001.11.23
(2022.05.02最終取材)
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