柏島の郷愁風景

高知県大月町【漁村】 地図 
 町並度 3 非俗化度 6 −四国南西端の陸続きの島 現在は観光も盛ん−

     

 柏島は宿毛湾を形成する半島の先端、四国本島とは架橋され陸続きとなっている。中世より海上交通の要所として位置づけられており、対明貿易のコースにもあたっていた。当時の明人による文献にも、九州から四国南部への渡海地として柏島の名が見られる。
 島は東岸から北東岸にかけて狭い平地があり、集落が立地している。四国との間の内湾では養殖漁業が盛んで多数の筏が浮んでいるのが見える。
 享和元(1801)年の『西郷浦山廻見日記』によると漁船3、諸船25、地引網4、鰡網4などとあり人数288とあり、漁獲は鰹をはじめ鯵、鰡などで、純粋な漁村であったことがうかがえる。また集落背後の山頂には烽火場・大砲が置かれ、遠見番所も置かれたことから海上警備の要所としても重要な位置を占めていた。
 








 島を訪ねて驚いたのは多くの海水浴客で賑わっていたことだ。四国の南西端の最も奥地にあることから、鄙びた漁村風景が展開するものと想像していたが、島の人口より多いと思われるほどの客が押し寄せていた。遠方からの客も多く、マリンスポーツの基地などとしても知られているところのようだ。
 しかしひとたび集落内に入ると喧騒とは無縁の風景が展開していた。板張りの家屋が多く、また平屋が目立つのは強風対策か。平地に展開するためか比較的整然とした道筋であり、島の漁村らしい色はやや薄い。黒潮の影響だろうか小さな神社前には暖地性の樹木が根付き、葉を広げていた。




       

訪問日:2019.08.11 TOP 町並INDEX