柏原の郷愁風景

大阪府柏原市<商業町> 地図 
町並度 4 非俗化度 8 −開発を免れた一角に残る商家の佇まい−




今町の町並 右は三田家

 柏原市は河内地方のほぼ中央に位置し関西本線、近鉄線の沿線にあり大阪市内や奈良県双方の利便性は良い。奈良県にある橿原市と字は違えどもよみ方は一字違いで、近隣にあるだけに少々紛らわしい。
 大和川が奈良盆地の西端からしばし山峡部を流れ、再び平野部を形成する位置にある。かつてはこの付近まで船舶の遡上が可能であり、柏原船と呼ばれる商船が大坂とを往復していたという。南河内や大和の農産物の大半はここに集結して水運に転じて搬送されたため、中継市場が形成され商業街として発達したという。
 代表的な商家に三田家があった。明和3(1766)年建造の旧家の建物は現在も伝統的建築として残っている。干鰯・油粕などの肥料商、地主として名声をあげた。国重文にも指定されている建物だ。間口が広く本瓦の堂々たる商家建築である。
 また寺田家は庄屋職を務め、柏原船を営業し干鰯問屋として活躍した。こちらも国の登録文化財となっている町家である。
 この二棟の伝統的な建物を中心に、JR柏原駅北西付近にある今町付近に古い町並が残っている。但し、そのすぐ南に接する地区は道路が拡張され、歴史性を全く感じない風景となっており、今町界隈にもその影響が及ぶ可能性がある。しかし今のところは、小規模ながら三田家・寺田家を核に濃密な町並の風景が健在であった。
 










訪問日:2012.07.15 TOP 町並INDEX