黒井の郷愁風景

兵庫県春日町城下町・在郷町 地図  <丹波市>
町並度 4 非俗化度 10 −塩田で栄えた当時の家並が残る−





春日町黒井の町並
  

 春日町黒井は兵庫県丹波地方の北部にあり、福知山線の駅も設けられている。
 日本海に注ぐ由良川の支流上流域に沿った平野部が展開しており、付近は田園地帯となっている。分水嶺に近いところにあるが大きな峠もなさず比較的なだらかな地形である。
 古くは久留井(黒井)城が存在し、中世末期から城下町が形成されている。赤井氏、荻野氏が城主として君臨していたが、天正7(1579)年に明智光秀の攻撃により落城している。しかし、江戸期にはいっても黒井は代官所が設置され、大庄屋がおかれまた藩札の引換所などもあり、この地域一帯の政治の中心であった。黒井村は城下町の姿を保ちながら本町・新町をはじめ10町で構成され、地理的にも氷上郡東部の中心に位置していたことから物資が集まりやすく、在郷商業町としても大きく発達した。付近の主産業であった木綿や、山林の木材などが取引され、日用品、海産物なども商われ毎月3回の市が開かれていたという。
 明治には馬車交通が付近との間に発達し、さらに福知山線の前身である阪鶴鉄道の駅が設けられ、この頃までは少なくとも隆盛期であった。
 当時の古い市街地は国道175号線から福知山線を挟んで北側に残る。東西に伸びる街路は現在でも乗用車の離合が十分な程度の幅員を持ち、店を閉じたものも多いが商店街の様相だ。一角には古い構えの旅館建築もある。
 伝統的な建物の割合はそれほど高いものではないが、妻入り平入り混在、多くは切妻様式であるが入母屋風の厳かな建物も散見される。統一感がないのは建てられた時代がまちまちであったためなのだろうが、江戸時代にまで遡るような旧家は残っていないようであった。









訪問日:2012.04.29 TOP 町並INDEX