春日部の郷愁風景

埼玉県春日部市宿場町・商業町 地図
 
町並度 3 非俗化度 7 −日光街道の宿駅−
 




粕壁三丁目の町並



粕壁東二丁目の町並



粕壁一丁目の町並



粕壁二丁目の町並
 
  
 春日部市は県の東部に位置し、東武鉄道によって大宮及び浅草に直結し、さらに東京都心へも便利な位置にある。
  東武伊勢崎線や国道4号線は旧日光街道の道筋にほぼ沿っており、電車で途中下車を繰返すことで手軽に旧宿場町を巡ることができる。
 この春日部にも宿駅・粕壁宿が設置され、江戸との距離からして最初に旅装を解く旅人が多く、賑ったという。宿の成立は安土桃山期の天正18(1590)年頃といわれ、「糟壁」の名が初めて見える。後に往来が頻りになると、上宿・中宿・新宿など10の町で構成された大規模な宿場町に成長し、幕末頃には街道筋の他に裏道にも旅籠街ができ一部では二筋に展開していた。宿の利用客の多い折には近郷の29ヶ村が助郷として宿駅業務に携わるなど、一大宿場町であった。北端は古利根川が流れ、河岸が設けられ水運にも恵まれており、米や麦などの農産物や酒や醤油味噌などの醸造業も多く、商業の町としても大きく発展していた。
 春日部駅前からは広い通りが始まり、近年になってから更新された商業施設が林立している。約300mほど進むと旧日光街道に突当たる。しかしこの春日部大通りと謳われた街路にあっても、多くは近代化された商店やマンションなどで占められ、所々に土蔵建築や店蔵が見られることで古い歴史を知ることができるに過ぎない。
 この交差点から西に向うと突当りに広い敷地を持った邸宅が眼に入る。一見して大商家を思わせる外観だが、周囲を防音壁で囲まれ取壊されようとしているところであった。交差点の角地でもあるし、この建物があれば古い町並としての風情も感じさせるのであるが、根こそぎ更新されてしまうともはや数棟だけ散在する蔵や町家だけになり、知らずに訪ねるとここが旧街道に沿っていたなどとは想像も出来なくなるだろう。
 大都市近郊で駅にも徒歩圏内であるため、この状況は已む無きことなのだろうが、取壊しされようとする姿に直面しただけに残念な訪問であった。 
 
 



粕壁三丁目の町並


粕壁東一丁目の町並


訪問日:2007.05.26 TOP 町並INDEX