佐津の郷愁風景

兵庫県香住町 【港町】 地図 <香美町>
町並度 5 非俗化度 8 −廻船業で栄えた但馬海岸の町−
 


 









 佐津は日本海にそそぐ佐津川河口付近一帯の総称で、山陰本線の駅名ともなっている。河口左岸は無南垣地区、右岸側は訓谷地区というが主に前者について紹介する。
 弘治3(1557)年の『但馬国にしかた日記』に「むなかい村」と見え、その頃には港町が発達したとされている。
 江戸期は廻船業が盛んで、30〜40石積の舟を九艘保有し、薪などを因幡地方の市に運んでいたという。石州外ノ浦港(現浜田市)の廻船問屋清水屋の記録では文化9(1812)年と文政7(1824)年に当村の船の入津が記録されている。また丹後国久美浜湊への当村の廻船が入津したとの記録が残っている。その他、塩浜を持ち藩に献上していた。
 集落内を訪ねても、港町で廻船業を営む者が多かったといった歴史は感じにくい。全体を板壁に覆われた外観の家屋が多いのは潮風対策だろうか、統一感のある家並であった。比較的土地に余裕があるからか密集した感じではなく、家並の間に植込みや小さな畑が見られる。
 集落の北には小半島を背負っている。小高いこの半島が入江を形成し、良津に恵まれ港町が発達したのだろう。但し、船着場に停泊する漁船の姿は少なく、多くの家では漁業以外の稼業を行っているようだ。





  
訪問日:2021.06.26 TOP 町並INDEX