勝浦の郷愁風景
千葉県勝浦市<漁村> 地図 町並度 5 非俗化度 5 −朝市で知られる外房の漁師町− |
浜勝浦の町並 | |
勝浦の町並 | |
勝浦市は上総地区の東南端、太平洋に面しており県内では銚子に次ぐ漁獲高を誇っている。 中世に勝浦城が存在していたが、江戸期に入り徳川家康の家臣の支配下となった。宝暦元(1751)に武蔵国岩槻城主であった大岡氏の陣屋が置かれることになり、廃藩置県まで一貫して同氏の支配地となった。 漁業は鰯などの近海漁業が主で、江戸初期の元和2(1616)年に紀伊の漁師が八手網による漁法をこの地に伝えたのが始まりといわれている。鰯は現在では食用のみだが、当時は農業の肥料としての需要が多くを占めており、干鰯として各地に出荷された。幕府は房総の八手網漁師に対し融資を行うなど優遇したため、主要産業として定着した。 房総地区は随所で定期市が盛んに開かれていたが、勝浦も例外ではなく江戸初期から開設された。最も古い記録で慶長8年のものがあり、当時の領主植村氏が陣屋を中心とした町の発展を図ろうと始めたとされている。現在でも朝市の形で受け継がれているものだ。 その朝市の行われる筋の西側に平行する通りが古くからの町の中心街と思われ、商家建築や旅館、土蔵などが趣を醸しだしている。その町並は漁村というより商業町のたたずまいであった。干鰯の商いや市の発展により裕福な商家が多数存在していたのだろうか。 その南側の漁港に近い地区にも木質感の高い切妻や寄棟の伝統的な家屋が散見される。この地区は浜勝浦と呼ばれ、漁村的色彩が比較的濃い街区となっている。一部には屋根構えの立派な邸宅もあり、豊かな漁家も少なくなかっただろうことがわかる。 ここを訪ねるときはやはり朝市を訪れたいものだ。水揚げされたばかりの海産物から地元産の野菜、山菜など見ているだけで楽しいものがある。高山・輪島と並んで日本三大朝市に数えられるが、その中では比較的素朴さが感じられる。 |
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勝浦の町並 | |
朝市の風景 |
訪問日:2016.04.30/05.01 | TOP | 町並INDEX |
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