上野の郷愁風景

三重県河芸町【宿場町・城下町】 地図 <津市>
 
町並度  4 非俗化度 7  −城下町を基盤とする伊勢街道の宿駅−



 この上野地区には16世紀後半織田信長が築城し、実弟の信包が入場した歴史を持つ。関ヶ原の役後にはここに上野藩が興り、城下町が形成されていたという。藩が存在していたのはわずか20年ほどであったが、この時代に町の基盤が形成されている。
上野の町並を象徴する妻入りの商家建築


 城下町の中心は南北2kmほどに展開する街路で、伊勢街道がそれを踏襲、伊勢参りの客が急増した江戸中期以降は上野宿として発達した。町場として既に成立していたこともあり宿場町の候補として推挙されるのは当然のことであったのだろう。
 町は八つにわかれ、また大名の通行を受け本陣・脇本陣をも配備された本格的なものであった。また27軒の旅籠、飯盛女を置く宿もあったという。
 町並は国道23号線のすぐ西側に残っており、離合するのも難しいほどの幅で現在は地元の人しか通らない生活道である。伝統的な建物はそれほどまとまって残っているという印象ではないが、平入りで格子の残る旧家、一部には間口の広い大柄な妻入りの建物もあって、旧街道の歴史を感じさせる。
 むろん町並探訪客などは目にしなかったが、案内板が1基設けられており、ささやかながら意識されているようであった。伊勢街道の往来が盛んだった頃に歌われた歌詞が紹介されていて、店舗の屋号や饅頭屋、茶屋、そして三味線の音色のする町の雰囲気が表現されている。今では幹線道路に封じられたような静かな家並からは想像も出来ぬような情景である。












訪問日:2012.11.04 TOP 町並INDEX