川俣の郷愁風景

福島県川俣町<在郷町・陣屋町> 地図 
町並度 5 非俗化度 9 −阿武隈高地に抱かれ絹織物で栄えた在郷町−






瓦町の町並


 川俣町は県の北東部、阿武隈高地の一角にある。市街地は数本の川が合流し盆地上の地形をなし、比較的広く展開している。市街地を東西に貫く国道114号線は古くは富岡街道と呼ばれ歴史が古く、奥州街道沿いから浜通り地域とを連絡する役割を持っていた。
 戦国期には城ノ倉城という城が築かれ、川俣氏が支配していた。江戸時代に入ると幕府領となり、桑折代官所の支配地として陣屋が置かれた。この頃から定期市が立ち、商業が盛んになった。街道上にあることで物資の取引が行い易いこともあるが、地場産業として発達した養蚕業・製糸業によるところも大きかった。川俣絹の名は全国に知られ、京都や伊勢の商人が取引に訪れるほどであったという。明治以降も町の基幹産業であったが、近年は自動車部品・電子部品製造などに取って代わっている。
 古い町並が残るのは、阿武隈川の支流・広瀬川の右岸側を回り込むような形に伸びている旧街道沿いである。本町・中丁・鉄砲町など陣屋町を思わせる町名が連なっており、それらの街区に伝統的な建物が見られる。連続した箇所はそれほど多くないが、土蔵や商家の佇まいがリズミカルに感じられる。そう感じるのは妻入りの建物が多いからだろう。
 町並として見応えを強く感じるというほどではないが、古い町並としての一定の評価はできる。
 




中丁の町並 本町の町並




新中町の町並

訪問日:2015.09.22 TOP 町並INDEX