見高の郷愁風景

静岡県河津町<漁村・港町> 地図 
 町並度 3 非俗化度 9 −江戸への海運の拠点でもあった集落−


 


 見高地区の町並 メインの街路には立派な建物も見られる
 

 早咲きの桜の名所として知られる河津町。町内は河津川河口付近を除いては峻険な海岸線が連なり、国道は崖の中腹に敷かれて迫力ある車窓となる。
 町域東部の海岸線は今井浜海岸と呼ばれ観光地となっているが、そんな一角に素朴さを保つ漁村がある。この見高地区は、近くに見える観光ホテル群とは対蹠的な姿を示していた。
 江戸時代は幕府領・相模小田原藩領・幕府と旗本間宮氏の相給と変遷し、寛政期末の『豆州村々様子大概書』によると人口900を数え、海老やサザエ、天草などを納めていた。また河津川沿いで集められた薪炭は見高浦より廻船で江戸に送られたという記録があり、そのため地域ではいち早く江戸の文化が持込まれたことも特筆され、歌舞伎役者市川小團次は見高浦の出身である。
 海に注ぐ小川沿いにわずかな平地が開け、家々はそこに寄り添うように固まっている。入母屋の立派な屋根を持つものもあり、店舗の姿も散見されるなど、小さいながら一つの町場が形成されていたようだ。一角にあった民宿の案内図を見ると多くの家屋では民宿をされているようだが、看板を掲げているわけでもないので今でもされているのかは良く判らなかった。
 古い町並というには少々物足りないものを感じるが、路地裏に土蔵を配置した姿が多く見られる。この構造は周辺地域を含めた特徴のようだ。小路の奥を覗くと、思わぬ風情ある風景に出会うのも趣深いものがある。
 
 



 
 

 

この集落の魅力は路地にある 

 
   
             
訪問日:2022.04.11 TOP 町並INDEX