加悦の郷愁風景

京都府加悦町<産業町> 地図 <与謝野町>
町並度 6 非俗化度 6 −丹後縮緬の中心地−





加悦の町並
 

 加悦町は京都府北部の丹後半島に近い位置にある。
 町の南側には丹後山地が連なり、南側から加悦町に向うと与謝峠を越えた辺りで三方を山に囲まれた小盆地が開けてくる。加悦谷と呼ばれる細長い平野で、ここで紹介する町並はその地区の中心地である。
 ここに残る古い町並は、「丹後縮緬(ちりめん)」で富を築いた家々の姿である。西陣織など京都の織物業などで珍重された郷土産業である。
 加悦谷は湿度の高い所である。特に冬は季節風の影響もあり、地元で「うらにし」と呼ばれる湿った風が吹き続ける。良くわからないが、その独特の冬の気候が縮緬の絶妙な風合いを醸すのだという。
 18世紀前半に京都西陣から技法が導入された機織業。以前からその素地があったことから爆発的な繁栄をみる。機織業者だけでなく仲買業者もあらわれ、幕末の慶応期には町内に56人の仲買人がおり、各地と取引を行っていた。人々は縮緬を荷に与謝峠を越えて福知山、京都へと運んでいた。
 
 
 

  
「ちりめんロード」と名付けられた街路には縮緬で栄えた当時の家々が古い町並として良く残っています。




土蔵を従えた如何にも豪商といった雰囲気の旧家 大庄屋を務めていた下村家
 
 野田川の左岸、現在の町役場付近から南側の旧道に町並が残っている。江戸期に遡るものはなく多くは大正期以後のものと言われているが、それでも当時としては極めて豪華な家々だったのであろう、多くは特に大掛りには修繕保存されていないように見えた。そしてそれらは京都とのつながりが強かったことを表すように、漆喰に塗り固められたものは少なく、家々の所々からは西陣織そっくりの機音が聞こえてきて、西陣の路地を歩いているような雰囲気にもさせてくれる。
 地元はこの古い町並の残る旧道を「ちりめんロード」と名付けて売り出しているようであったが、観光地的な雰囲気は全くといっていいほどなく、それが好ましく感じられた。
 


訪問日:2004.08.13 TOP 町並INDEX