賀陽の郷愁風景

岡山県賀陽町【商業町・農村】 地図 <吉備中央町>
 
町並度 3 非俗化度 9  −台地上に展開する古い繁栄の痕跡−

 

 賀陽地区は高梁市の東、総社市の北といった位置だが両者と異なるのは台地上に展開する点だ。特に高梁川沿いの盆地に当たる高梁市に向けては急崖をなした地形となっている。
 備中国上房郡に属し、古くから高梁そして備中松山城とのかかわりが深い地域であった。中世には備前側の虎倉城との勢力のせめぎあいがこの地で展開され、幾たびか戦乱の舞台となった。竹荘に構えられた矢倉城はしばしば軍事拠点となった。
 そのため領域も松山藩領と足守藩領の地域が錯綜し、また変遷しながら幕末維新を迎えたという。
 ただ、変化しなかったのは台地上の平地に恵まれ、また比較的水利に不自由することもなかったことから農業が盛んに行われていた点だ。近在の村々の小さな物流拠点、在郷町としてのささやかな賑わいがあったと思われる。
 圧倒的な繁栄がなかったらしいことは現在町を訪ねても推測できる。現在は吉備中央町の中心として町役場も置かれるこの界隈の雰囲気は長閑という言葉が一番よく当てはまる。町役場から川の流れを挟んだ対岸に東西に開ける街路沿いは、それでも辛うじて市街地とも言える町並が形成されていた。
 伝統的な外観をした建物はわずかであり、連続した箇所も少ないものだった。海鼠壁などの意匠を見るに、古くとも大正以降に建てられたものと思われた。
 













訪問日:2015.03.22 TOP 町並INDEX