印南の郷愁風景

和歌山県印南町【港町・漁村】 地図 
 町並度 4 非俗化度 10 −廻船と漁業で栄えた町−

         
 印南町は県の中部やや南寄り、御坊市と田辺市の中間にあって海に面し、国道42号線と紀勢本線が縦断している。山がちの地形ではあるが町の中心付近には僅かながら平地が形成されている。










 

 和歌山藩成立後、印南は藩の御蔵所(藩の年貢米を納めるところ)となり、地域の物流を担う重要な役割を持っていた。廻船の基地ともなり、各国からの物資の往来も盛んだった。また漁村としても印南の漁民は初期より活発に活動しており、16世紀後半の天正期の頃から、東は房総沖、西は日向灘や五島列島方面まで出漁し、外部各藩にも印南の漁船が優遇されたことから、一大漁村として発展している。土佐沖での鰹漁によって、鰹節が名産となった。印南浦の名は各国に知れ渡ることになった。
 印南川の河口付近に旧市街が開けている。国道からアクセスすると、にわかに細い路地が入組み、その町割は古くから多くは変っていないようだ。その所々に伝統的な家屋が見られるが、連続した箇所は少ない。それらの多くは商店だったらしく一階部分が近代的に改装されており、原形を保っているものは少ないようだ。古い町並の視点からすると、やや風情に欠けるきらいがある。
 しかしそれでも、古くから営業を続けているらしい醤油醸造所、また名産「なんば餅」のレトロな木製看板を掲げた老舗、また現在は他の目的に利用されているが、入口の扉に「木炭問屋」の文字の残る洋風の建物などを見ると、賑やかだった昔を垣間見る思いがする。
 
訪問日:2015.12.29 TOP 町並INDEX