来島の郷愁風景

島根県赤来町【市場町・在郷町】 地図 <飯南町>
 
町並度 4 非俗化度 10 −旅館建築が多く残る要衝の地−


 

来島(野萱)の町並




 来島地区は標高約400m、周囲は比較的平坦な高原状をなしている。神戸川の上流にあたり、稲作や和牛などの畜産が盛んである。
 




 
 

 古くは来島荘の名が見え、その領域は北側の頓原方面にまで及ぶ広大なものであったといわれる。現在は国道54号線沿いであるが、古代よりこの道中は重要な官道であり来島には関所が設置されていた。
 その後江戸に入ると、来島を含む奥飯石地方は広瀬藩領となっている。
 中心集落は旧野萱村で、字三日市といい、その通り定期的に市が開かれていたことを物語る。国道から少し外れた旧道沿いに緩やかな坂を伴った家並は小規模ながらも連続性が感じられ、とりわけ旅館の看板を今でも掲げた家屋が目立つ。その内幾つが営業を続けられているかは定かではないが、少なくとも近現代に至るまで旅人の滞泊が少なくなく、賑わいを呈していたようだ。積雪の多い地区であるため山陰独特の赤褐色の瓦のほか、トタン葺のものも散見される。
 中国山地の脊梁に近く過疎化の激しい地区にあって、わずかながらも賑わいの残影を残している町並であった。
 

 


訪問日:2011.11.13 TOP 町並INDEX