菊間の郷愁風景

愛媛県菊間町<産業町・街道集落> 地図 <今治市>
 
町並度 4 非俗化度 10  −菊間瓦で知られる町−




菊間町浜の町並
 菊間町は松山市と今治市の中間にある高縄半島西岸の町で瀬戸内海に面している。
 海岸部には工業地も立地し、それらは現代になってからの埋立てによるものである。一方で、風化の危機に晒されながらも伝統的な姿も幾分か残る町であった。




菊間町浜の町並



 菊間瓦と呼ばれる瓦の生産で知られる町で、松山藩の保護を受けて18世紀半ば辺りから発達している。瓦の原料の仕入れのために船が多く港に行き来し、海運業を発展される基礎ともなり、また松山城を中心とする街道の往来にあたっており、宿駅機能も付与されたらしくそれらを基盤として商工業も大きく発展していた。




菊間町佐方の町並


 中心集落であった浜村は藩の水主役となっており、在籍船数も多かった。また本州側の諸漁村との交流も盛んであり、菊間は瓦産業を中心に漁村、宿場町など多数の機能を具備しにぎわった所であった。現在では伝統的な建物が連続してはいないものの、見たところ明治から大正期にかけての商家建築が散見され、一部には趣ある横路地風景もあった。瓦の町といわれるところだから家々の屋根瓦も重厚で凝っているのかというとそうではない。あくまで商業生産が盛んだったということなのだろう。
 一方で浜地区より北東に位置する佐方地区には伝統的な建物の散見される街道風景が展開していた。家々の構えは宿場町のそれではなく、入母屋造りの屋根を持つ邸宅があるなど間口に十分なゆとりを持ったものであるので、街道沿いに発達した商業集落なのだろう。本瓦を葺いた重厚なものも一部にあった。
 
 

訪問日:2010.07.19 TOP 町並INDEX